福島寿光会病院

病院長挨拶

患者様の命に寄り添い信頼のある高度慢性期医療を目指す病院です。

 

〖高度慢性期医療のパイオニアとして〗

 65歳以上の高齢者は総人口の4人に1人となり、現在、我が国は世界でも稀に見る超高齢社会を迎えています。私たち福島寿光会病院はこの社会構造の変化とこれからの医療ニーズにいち早く対応し、高度慢性期医療のパイオニアとして日夜、研鑽と努力を続けています。高度慢性期医療とは、高度な医療機器や医療技術を用いることだけではなく、すべての患者さまの多様なニーズにお答えし、可能な限り断らず受け入ることだと考えています。厚生労働省が在宅医療、在宅支援によってご自宅で高齢者の療養・介護を行う方針を打ち出しましたが、当院はそれに先駆け、高度慢性期医療を福島県北医療圏で展開してきました。慢性期医療は皆さまと末永く一生お付き合いする医療として、今後、益々クローズアップされ、皆さまの生涯医療計画の中で占める割合がどんどん大きくなっていくものと考えられます。高度慢性期医療に積極的に取り組み、質の高い在宅医療を支援するのが、当院の使命だと考えています。

 

〖私たちはそれまで行ってこられた医療を尊重します〗

 当院は急性期病院で行われた医療を最大限尊重し、急性期病院との円滑な連携を図り、急性期医療と慢性期医療のギャップをできる限り小さくする取り組みを重ねてきました。当院では地域連携室機能を充実し、一般的な慢性期病院では対応が難しい、人工血液透析、腹膜透析導入手術と管理、各種人工呼吸管理、声門閉鎖術術後管理、胃ろう造設術、拘縮に対するボトックス治療、強心剤やディバイスを用いた重症心不全管理、ペースメーカー手術と管理、各種中心静脈カテーテル・ドレーン・下大静脈フィルター留置などのカテーテル治療と管理などを行い、高齢者救急にも対応できるよう取り組んでいます。また、福島県立医科大学、帝京大学などの大学病院から医師の派遣や連携があり、医療の質を担保する仕組みも構築しています。

 患者さまが生活していたご自宅や施設で具合が悪くなり、救急車などで急性期病院に入院された場合、回復された後は元の場所にお戻りになるのが一般的です。しかしながら、病状の回復が限定的であったり、医療・介護依存度が高くなった場合、元の場所では受け入れが困難になることがあります。そのような場合にこそ私たちの病院の存在意義があると自負しています。急性期病院からご自宅への直接退院の不安が大きい場合、当院はご家族や訪問看護師に対しては退院後の在宅介護・看護のトレーニングをお手伝いしながら、入院の上、患者さまの病状を在宅医療に耐えられるよう安定化を図り、在宅と急性期病院との間の架け橋になります。また、ご自宅や元の施設に戻ることが困難な場合、当院はあっとほーむという名称の施設を管理・運営していますので、病状の一定以上の改善を行ってから、自施設への入所を調整し、施設入所後は週3回の訪問診療を行うことにより切れ目のない医療と介護が受けられるよう取り組んでいます。

 

〖わたしたちは患者さまとご家族の思いを尊重します〗

 当院ではリハビリテーションにも力を入れています。脳血管疾患後遺症や廃用症候群、老年症候群、慢性心不全といった薬だけでは治らない疾病と症状に対して、リハビリテーションはとても有効な手段です。運動器リハビリのみならず、呼吸器リハビリ、摂食嚥下リハビリ、言葉のリハビリ、心臓リハビリと、適切なリハビリテーションを組み合わせ、患者さまが最後までその人らしい生き方を全うできるよう、患者さまの傍らでお手伝いしています。

 当院は高齢者や重症例の栄養の重要性をいち早く指摘し、近年話題になっているフレイルやサルコペニアといった栄養やリハビリテーションが大きく関わる疾患に対して積極的かつ戦略的に対応してきました。栄養科は経口摂取の可能な患者さまに対して、季節が感じられる季節食やイベント食を患者様ごとの食形態を考慮して提供し、食べる幸せを感じて頂けるように取り組んでいます。経口摂取が難しい患者さまに対しても、適切な栄養管理を行うことで、病状の安定化や褥瘡の治癒を図っています。

 また、当院の特徴として意識障害や認知症を患う患者さまが多いことが挙げられます。このような患者さまには専門的かつ根気強いアプローチが必要であり、患者さまに穏やかに過ごしていただけるよう、積み重ねた経験とスキルを生かし、それぞれの患者さまに適切なオーダーメイドの医療、看護、ケア、支援を実践しています。当院では、相談窓口としての地域連携室機能にも力を入れ、患者さまやご家族の難しい悩みであっても、一緒に解決策を見出すなど、地域の皆さまに信頼して頂ける存在であり続けたいと考えています。

 

 

〖緩和医療から最期の瞬間まで〗

 患者さまを救いたいという思いはすべての医療人の原点であることは言うまでもありません。しかしながら、患者さまはその生を全うした後、最期の瞬間が訪れます。私たちは患者さまの命と真摯に向き合い、最期の瞬間まで患者さまに寄り添い続けます。終末期の患者さまの苦痛を和らげる緩和医療、緩和看護、緩和ケアに真剣に取り組み、患者さまの身体的な痛みだけでなく不安も取り除き、ご本人とご家族の心的なストレスを緩和するメンタルケアにも力を入れています。高度慢性期医療の目指す究極には、患者さまが患者さまらしい穏やかで安らかな最期を迎えるための導きがあると考えています。

患者さまが豊かな人生を全うできるよう、私たちは誠心誠意お手伝いさせて頂きたいと考えています。

 

医療法人五光会 福島寿光会病院      病院長     袖 長 安 積

公開日:
最終更新日:2022/03/31