【福寿こらむ】私の趣味《2》

 

福島寿光会病院名誉院長 木田雅彦

 

【福寿こらむ】私の趣味《1》

【福寿こらむ】私の趣味《3》

 いわき市には、古生代から新生代までの地層があり、首長竜や巨大アンモナイトなどの化石を産出する。首長竜は当時高校生であった鈴木氏が大久川で発見した化石で、新種と認定されフタバスズキクビナガ竜と命名されたことは記憶されている方もおられるだろう。私は、高校の考古学クラブと天文地質クラブに所属して、発掘に参加したり化石採集をしたりしていた。巨大アンモナイトは天文地質クラブの先輩の根本氏が発見した。いわき市四ツ倉には古生代の地層があり、市の天然記念物に指定されていた。沢になっており落石が多く危険であったが、当時の学生はお構いなしに盗掘を行っていた。また教育委員会もそれほど厳しく対応はしていなかった。私も三葉虫の化石を手に入れ大変に喜んだ。

 また、クラブの三人で北海道に化石採集に行った。1週間の周遊切符を購入して、多分急行「十和田」だと思うが、平駅(現いわき駅)から青森駅まで直通であった。長時間の乗車であったが、若かったので苦痛ではなかった。青函連絡船の乗船時は、銅鑼の音が高々と響き郷愁を感じた。函館駅では蒸気機関車の二連車両が見られ、珍しく思い記念写真を撮影した。途中長万部では汽車の停車時間中に、駅から走って名物のカニ弁当を購入した。駅員が親切で駅前の店舗を教えてくれた。お陰で出来立てを買うことができとてもおいしかった。

 旭川を北上して佐久駅に行った。駅に着くなり、改札口に大きなアンモナイトが飾られていた。天塩川の氾濫で流されてくるとのことで近隣の家々にも1メートルに近いアンモナイトが床の間に置かれていた。駅前には3軒しかなかったが、公衆電話はあった。営林署に連絡しようと電話ボックスに入ったが、電話機にダイヤルがないので面を食らった。三人で受話器を取る前にハンドルを回すのかあとからか、ハンドルは何回回せばよいのかとしばらく思案した。しかし結果的にはどうでもよかったらしい。電話は繋がった。営林署に化石採集の許可を出していたため、職員の方が、親切にも山の入り口まで車で送ってくれた。そして幾分かの化石を採集したのち、待ち合わせ時間に迎えに来て駅まで送ってくれた。旅館も何もない町であった。駅員さんに駅に泊めてくれるようにお願いしたら、「仕方がないでしょう。」と許可してくれた。お礼に採集したアンモナイトを1個差し上げた。これは今なら賄賂であろうか。古き良き時代であった。

(次回に続く)

 

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